あかりの里 あらすじ
静かに暮らす、母と娘
気になるのは、出て行った弟のこと
家族の淡い思いは、
美しい風景の中でつむがれてゆく――


 奈良県斑鳩町法隆寺門前町。ゆったりとした時が流れるこの町に暮らす親子がいる。

 大木涼子。頑張り屋さんで、少しガンコなところのある29歳。母親の初江は、門前町に生まれ育った人。夫を亡くし、今では趣味の油絵に没頭している。

 ある日、初江は家の階段から落ちる。幸い大事には至らなかったものの、検査で緑内障を患っていることが判明する。そのショックで、初江はふさぎがちになってしまう。

 涼子は、初江の様子を伝えるため、3年ぶりに弟の尚之に会う。尚之は、和菓子職人を目指していたが、自分勝手な理由で辞めたことで、初江と大ゲンカ。以来、実家に寄り付かなくなった。

 そんな尚之の家に入る涼子の目に、和菓子作りの道具が入った。尚之は、会社を辞めて再び和菓子作りを始めていたのだ。しかも、妻のまり子と息子のたかしとは、別居している。そんな尚之に、涼子は怒りを隠せなかった。

 初江の病気を心配して、久しぶりに家に帰った尚之は、初江のアトリエにあった白黒の写真を手にする。それは、かつて「いの町」と言われた、門前町の古い風景だった。

 いの町。い草の畑があったことから、そう呼ばれていた。い草の茎から取れる灯芯づくりが盛んだった。初江の両親も、この町で灯芯づくりをしていた。

 尚之は、灯芯をつくる「灯芯引き」の技術を持つ唯一の人が、隣の安堵町にいることを知り、何とか母親に元気になってもらいたいと、灯芯のあかりを見せようとして奔走する。そんな尚之の姿に、涼子は釈然としないままでいる。

 親子、家族の絆という灯火が、「あかりの里」で、あかあかと燃え上がろうとしている。



関西が誇る才能たちが、奈良に集まってくれました!


 NHKドラマ「ダイヤモンドの恋」が記憶に新しい紅萬子、
 
「ズームイン!!SUPER」でおなじみの国木田かっぱ、

人気劇団M.O.Pの林英世など、個性豊かな面々が脇を固める中、

母親役に関西芸術座の実力派女優・川本美由紀。椎名桂子、浜口望海、山路梨瀬ら新鋭が、奈良の町で生きる若者の姿をみずみずしく演じます。

 監督は、日本映画の登竜門である「ぴあフィルムフェスティバル」に入選して以降も、地元・奈良にこだわり、作品を発表し続ける横田丈実。

 繊細な登場人物を温かい目線で描くと高い評価を受ける作風は、本作でも健在です。
 
 
 
はじまりは、タウン誌から


「うぶすな」は、奈良を中心に配布しているタウン誌。編集部は、長田朱美さんと娘さんの2人で運営しています。

 だから、締め切り前はいつも大騒ぎ。なのに、それに加えて「映画づくり」までしようというのだから、さあ大変!

 ところが、タウン誌の思いは、人々に伝わり、ロケ場所提供からエキストラ出演、資金援助に至るまで大きな輪は広がって―――。

「うぶすな」とは、「産み出す大地」の意。その言葉通り、こんな素敵な手作り映画が誕生しました。  
 

 

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